あしあと
富津岬は、東京湾をめぐる還流浦賀水道を北上する潮流によって形成された尖閣岬(せんかくみさき)で、州の先端は約4kmも海に突出しています。
海岸砂丘に広がる植物群落の北岸にはスナビキソウ・ススキなどの内陸野生植物、南岸にはコウボウムギ・ハマボウフウ・ネコノシタなどの塩生植物、中間帯には帰化植物などの異なる植生帯を形成しています。
昭和29年県指定天然記念物。
ニホンザルは、本州・四国・九州・屋久島に分布し、日本固有の動物として親しまれてきました。4から5歳で成熟し、秋から冬に交尾し、妊娠期間5ヵ月で1頭を出産します。
富津・君津市などを含む房総丘陵には野生ニホンザルが生息しており、とくに高宕山を中心とする標高300m前後の波状山地には群れで生活しているのが確認されています。高宕山の植生は針葉樹と広葉樹からなり、クリ・アケビなどサルの食べ物も豊富です。
昭和31年国指定天然記念物。
ヒカリモは鞭毛藻類(べんもうそうるい)と呼ばれる生き物で、顕微鏡でなければ観察できないほどの小ささです。洞穴やトンネル等の水溜りに群生し、菜の花の咲く春になると、外からの光を反射して黄金色に輝きます。
発生地は国道127号線沿いの海蝕洞穴(かいしょくどうけつ)で、間口約3m、奥行約10m、水深約70cmほどであり、日本で最初にヒカリモが発見された場所とされています。
延宝2年(1674)には、水戸黄門の呼び名で知られる徳川光圀(とくがわみつくに)がこの地方を旅行し、紀行文に「黄金花」と記録しています。
1月から4月が見ごろです。
昭和3年国指定天然記念物。
竹岡の薬王寺は、湊川河口南側の海岸沿いの老松に囲まれた景勝地にあります。
オハツキイチョウとは、葉の上に実をつけるイチョウの変種で千葉県内では香取郡神崎町でも確認されています。樹高約18mにもなる本樹は、文化9年(1812)、奥州白河藩主の松平定信が、本堂・薬師堂再建の大檀那(おおだんな)として自ら領国白河から取り寄せて手植えしたものと伝えられ、樹齢は200年以上と考えられています。
昭和40年県指定天然記念物。
※令和元年の台風被害のため、現在は枝を剪定した状態です。
環の大樟は、東大和田・興源寺の石段の登り口右手にあり、その姿は非常に雄大です。主幹はすでに失われていますが、2本の「ひこばえ(切株から伸びる若葉)」が大きく生長し、現在の姿になっています。
また、戦国時代、里見氏と真里谷武田氏の合戦による興源寺の火災の際には、巨大な幹の空洞に不動明王像が飛び込んだという伝承が残されています。
樹高約23m、根回り約21mで、千葉県最大の樟(くすのき)です。
昭和10年県指定天然記念物。
宝竜寺・白山神社本殿裏の御神木で、樹高約35m、根回り約7m、樹齢は1000年以上といわれています。
この地域の巨木として、佐貫・熊野神社の巨松と並び称され、巨松が枯死した現在では市内随一の巨大スギとして信仰の対象となっています。
また、社伝によれば、神社の創建は平安時代仁和元年(885)に遡ります。
昭和53年市指定天然記念物。
※令和元年の台風被害により、現在は手入れをした状態です。