あしあと
これまで医療については被用者保険(協会けんぽ等)や国民健康保険、75歳以上の方は後期高齢者医療制度や介護事業、介護予防については介護保険といった保険者の違いにより、保健事業と介護予防事業は別々に実施されており、健康状況等の課題に応じて高齢者を中心として提供されるよう連携がとれていないことが課題となっていました。
高齢化が進む中、人生100年時代を迎え国の経済財政運営と改革の基本方針において、全ての世代の方々が安心できる持続可能な全世代型社会保障の実現に向けて取り組む必要性が示されました。これを踏まえ令和6年度までに全市町村において、この保健事業と介護予防の一体的な実施を展開することを目指すこととされました。
本市では令和5年度より事業を開始し、複数の慢性疾患を持ちフレイル状態に陥りやすい高齢者に対し、健診結果等を活用して地域の健康課題を把握し、医療専門職が積極的に関わることできめ細やかな支援を実施し、 高齢者が住み慣れた地域で可能な限り自立した生活と社会参加ができるよう目指しています。
事業にあたっては後期高齢者医療を管轄する国民健康保険課と、介護予防事業を管轄する介護福祉課、保健師や管理栄養士、歯科衛生士等の医療専門職が所属する健康づくり課の3つの課が連携し、一体的に事業を進めています。
この事業ではいきいき百歳体操などの市民の集まる活動の場で、正しい血圧測定の指導や健康相談、フレイルチェックやフレイル予防のための栄養指導、歯科口腔機能維持向上のための「健口体操」などを行う『通いの場等への積極的な関与等(ポピュレーションアプローチ)』や生活習慣病の重症化予防等のため、健康診査などの情報から高いリスクがある方を抽出し保健指導等を行う『高齢者に対する個別的支援(ハイリスクアプローチ)』を実施します。
令和6年度に活動を始めた百歳体操等の実施団体に対し、前年度の取組を行うとともに前年に引き続きポピュレーションアプローチの事業に参加している方について、令和5年度の栄養状態や筋肉量測定の結果と令和6年度に実施する同じ測定の結果を比較して、筋肉を保つための食事の取り方や減塩指導等を実施します。
実施内容(令和6年度新規)
富津市いきいき百歳体操等を実施している29団体、1,001人の方に健康教育等を実施しました。
実施内容
指輪っかテスト
自分の指を使って自分の筋肉量が把握できる簡易型のフレイルチェックです。
自分の筋肉の衰えにいち早く気づくことができます。
令和5年度に実施した取組に加えて、令和5年度後期高齢者健康診査の受診結果データから糖尿病性腎症のリスクが高い方を抽出し、個別訪問による保健指導を実施します。
国保データベース(KDB)システムを利用して、令和4年度後期高齢者健康診査の受診結果データから体重減少や血圧高値の方等の重症化のリスクが高い方を抽出し、管理栄養士や保健師が個別に訪問し栄養指導や保健指導等を実施しました。
国保データベース(KDB)システムとは
千葉県国民健康保険団体連合会が、保険者の委託を受けて管理する「健診(保健指導)」「医療」「介護保険」の情報を活用し、統計情報や個人の健康に関する情報を提供するシステムです。
病気はできるだけ早く症状に気づき(早期発見)速やかに適切な治療(早期治療)を受けることができれば、症状の悪化を防ぐことができ、回復も早く軽症で済むことが多いと言われています。
高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業でも、健診の受診結果の分析により重症化リスクの高い方を抽出し、保健指導や栄養指導に活用しています。
1年に1回の健診でご自身の健康状態を把握しましょう。