認可地縁団体の不動産登記の特例とは
地縁による団体が認可を受けて法人格を取得し、不動産登記ができるようになっても、所有権の移転登記を行う際、当該不動産における名義人が複数で、相続登記がされていないなど登記義務者が判明しない場合があり、全ての相続人の確定や承諾を得るために多大な労力を費やし、所有権の移転登記に支障をきたしているという問題がありました。
このような状態から地方自治法の一部が改正(平成27年4月1日施行)され、一定の要件を満たした認可地縁団体が所有する不動産であって、登記名義人やその相続人の全てまたは一部の所在が知れない場合、一定の手続きを経ることで、認可地縁団体が単独で登記の申請を行うことができるようになりました。
申請の要件
下記の全ての要件を満たしている必要があり、それを疎明する資料(以下、「疎明資料」という)の提出が必要です。
- 当該認可地縁団体が当該不動産を所有していること
- 当該認可地縁団体が当該不動産を10年以上所有の意思をもって平穏かつ公然と占有していること
- 当該不動産の表題部所有者または所有権の登記名義人の全てが当該認可地縁団体の構成員またはかつて当該認可地縁団体の構成員であった者であること
- 当該不動産の登記関係者の全部または一部の所在が知れないこと
登記までの流れ
- 相続人の所在が分からない等により移転登記できない場合、市に疎明資料を添付のうえ「所有不動産の登記移転等に係る公告申請書」を提出する。
- 市は、提出された疎明資料により要件を確認する。
- 市は、当該不動産の所有権の保存または移転の登記をすることについて、異議のある関係者等は市に異議を述べるよう公告する。
- 市は、3か月以上の公告期間に異議申出がなかった場合は、そのことを証する文書を認可地縁団体に交付する。
- 法務局において所有権の保存または移転登記を申請する。
申請に必要な書類
特例の申請を行うときは、「所有不動産の登記移転等に係る公告申請書」と、下記の添付書類を提出してください。
添付書類
- 所有権の保存または移転の登記をしようとする不動産の登記事項証明書
- 保有資産目録または保有予定資産目録等
- 申請者が代表者であることを証する書類
- 地方自治法第260条の38第1項各号に掲げる事項を疎明するに足りる資料(疎明資料)
公告に対する異議申出
下記の登記関係者等は、公告した申請内容に異議を申出することができます。
「申請不動産の登記移転等に係る異議申出書」に、添付書類を添えて提出してください。
- 申請不動産の表題部所有者または所有権の登記名義人
- 申請不動産の表題部所有者または所有権の登記名義人の相続人
- 申請不動産の所有権を有することを疎明する者
添付書類
- 申請不動産の登記事項証明書
- 住民票の写し
- その他市町村長が必要と認める書類(所有権を有することを疎明するに足りる書類)